Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

堀越 拓也

ベトナム

多様な価値観と文化に触れて、自国や自分を見つめ直すきっかけに

堀越 拓也さん

農学部・森林科学科
留学期間:2017年 8月13日 ~ 2017年 8月26日
留学先:FPT大学

留学先大学について

 FPT大学は主にITやビジネスに力を入れている大学で、ベトナム国内に3か所のキャンパスを所有している。今回参加したプログラムでは、選択コースがEnglish,Business,Webの3コースあり、自分はEnglishコースを選択した。同プログラムには現地ベトナム人の学生だけでなく台湾やインドネシアの学生もいて、アジア各国から来た多様な学生と交流することができた。滞在した大学寮はダナン市内から車で約20分の穏やかな場所に立地していた。食事に関しては、土日以外は3食用意されていて、懸念していた水もウォーターサーバーがあるので不自由なく生活することができた。寮自体も比較的新しく、部屋もきれいで快適な生活を過ごすことができた。また今回滞在したDanang市はベトナム第3の都市であり、近年高級リゾート地として注目を集めている都市だった。プログラム内でも市内観光をする機会が何度かあり、広大なビーチや歴史的寺院、博物館を見学した。

学習面について

 授業は朝8時から11時過ぎまでの午前中に、寮内のコミュニティルームで行われた。自分の選択したFun for fun Englishでは、実際に英語を使うことを目的として主に英語でのレクレーション、イディオムや比喩学習、ディスカッションや簡単なプレゼンテーションを行った。また宿題として、各授業で学んだことを5分間のビデオとして英語でブログに更新するという宿題を行った。初めの方は先生や他国の生徒の発言を十分に理解することができず苦労したが、だんだんと英語でもコミュニケーションを取れるようになり、授業に積極的に参加できるようになった。今回担当してくれた先生はとても気さくで話しやすかったため、授業も毎回楽しむことができ、英語を話すことへの抵抗はほとんどなくすことができた。また、これまでは正しい文法、発音でなければ英語で会話はできないと思っていたが、実際に他国の学生と学んでみて、形よりもとにかく話すこと、自分の意志を伝えきることが重要であることを学んだ。

生活について

 ダナンでの生活は本当に最高だった。フォーやココナッツ、ベトナムコーヒーなど、ベトナムならではの食事をたくさん食べることができ現地の食文化を存分に楽しめた。ただ、味付けが日本食と大きく異なり、店によっては衛生面が良くない店もあったりと、何度かお腹を下したこともあったが、薬は事前に準備しており軽い症状で済んだし、ある程度覚悟はしていたので余り気にはならなかった。

 また観光に関しても、時間があるときはビーチで遊んだり、市内のマーケットでショッピングをしたり、伝統的寺院を訪れたりと、リゾート地ダナンの魅力も感じることができた。寮の周辺にはお店がほとんどなかったが、現地ではタクシーが格安で乗れたのでいつも市街まで出かけていた。

 寮では二人一部屋で、自分はベトナム人の学生と一緒に生活した。日常会話はもちろん英語でとにかく英語漬けの環境をとることができた。またベトナムの文化や簡単なベトナム語も教えてもらい、夜には一緒に市街へ遊びに出かけたりと、プログラム以外でも日々刺激的な毎日を過ごすことができた。

 一方で日本との違いを多く感じた2週間でもあった。道路はバイクでごった返し、信号はほとんどなく、日本ではありえない交通マナーがベトナムでは当たり前だった。また物価が大きく異なり、マーケットの商品には値札が無く値切りが当たり前のように行われる光景も新鮮だった。ビーチ沿いでは急ピッチで高級ホテルのリゾート開発が行われる中で郊外では小さな家が窮屈に立ちならび、夜には巨大な橋やビルが光り輝く中で路上ではまだ小さな子供がモノを売っていたりと、発展途上国の光と影の両面を感じた。

留学で得たこと

 最も重要なのは自分から心を開き、積極的に話しかけることだということ。国も違えば言語も違うし、文化や考え方も全く異なる人に囲まれた中で、いかに自分から心を開き、相手を受け入れるかが重要であるかを感じた。そうすれば英語がうまく話せなくてもコミュニケーションはとれるし、なによりこいつはおもしろい奴だと思われれば、他国の人からどんどん話しかけてきてくれるようになり、自然と英語を話す機会が増えた。また、アジア各国の学生と接したことで、アジアの中での日本の位置づけや関係性を意識するようになった。

 特に今回、発展途上国であるベトナム・ダナンで2週間滞在したことで日本がいかに恵まれた国であり、同時に自分がいかに平和ボケしていたかを痛感させられた。日本はインフラ整備が飽和しつつある一方で、ベトナムは現在インフラ整備が急激に進んでおり、町のいたるところで道路整備、ビル建設、町の区画整理が行われていた。またビーチ沿いではリゾート開発が盛んにおこなわれ、町全体が急成長中であることを実際に滞在して感じた。自分がイメージしていた東南アジアはもはや少数で、自分の知らないところで多くの国が成長している事実を実感した。また共に参加したアジア各国の学生も勉強意欲が高く、自分の夢や目標のために一生懸命日々勉強していることを知り、能力の高さをはっきりと感じた。その中で自分を見つめなおすと、自分でその道へ進んだにもかかわらずまだまだ学ぶことへの熱意が弱く、考えが甘いことを痛感した。また国全体として、現在の日本はある程度の豊かさを手に入れたことで、自分で考えて物事を成す機会が少なくなったと思う。特に違いを感じたのは値切りの文化だった。日本ではほとんどの品物は定価が表示され、当たり前のようにその値段で商品を買うが、ベトナムのマーケットでは定価が示されておらず、店員との交渉で値段が決まるのが当たり前だった。マーケットではその商品の価値はいくらなのか、相場はいくらなのか、自分はそれをいくらでほしいのかが常に問われた。そのためには自分自身でモノの価値を決めなければならず、そのモノの価値を知っていなければならないと感じた。このように普段日本で生活していては考えないことを改めて考えさせられる経験も留学したからこそ得られたと思う。

 今回は2週間という短い期間の留学であり、正直この期間で何か能力を身につけるのは時間が余りにも短いと感じた。しかし、2週間と言えども実際にベトナムで生活し、様々な文化に触れたことで、数え切れないほどの気づきを得たことは確かだと感じる。今回気づき学んだことを今後伸ばしていけるかがさらに重要であると思うので、この留学で得たことを忘れずに今後の学業に励んでいきたい。

後輩へのアドバイス

 チャンスがあるなら絶対に行った方がいい!たしかに言語や生活面で不安はあるかもしれないし、なにより日本にいれば快適な生活が送れるから別にいかなくても…と昔は自分もそう思っていた。しかし実際に行ってみて、今までの自分の世界の狭さを痛感したし、日本がいかに恵まれた国であるかを知ることができた。2週間と言えども、学べることは数え切れないほどあるし、本当にたくさんの出会いがあった。やはり実際に経験してみないと分からないことはあるし、知らない世界がまだまだあることを自分の肌で直接感じることができた。ほんの少し勇気を出して外へ飛び出すだけで、数え切れないほどの貴重な経験ができるのは間違いない。あとは自分なりの目的意識をしっかりと持って留学すれば、最高の経験ができると思う。学年や期間関係なく、まずは行ってみる、やってみることが重要だと思います。

 最後になりましたが、今回の留学を支えてくださった信州大学、FPT大学の皆さんには本当に感謝しています。このような貴重な機会を与えて下さり、誠にありがとうございました